8万円とか出してもこんな感じ、

IMG_3167ママチャリが1万円程度で買える様になってずいぶん経つのでスポーツ入門車とか呼ばれる8万円の自転車はその8台分って事。知らない人はさぞかし高品質の高級車と思うだろうがさにあらず、多くの構成部品が高級とは言いがたいコスト重視、利益重視のパーツで成り立っている。
だいたいママチャリがあんだけ安いのは数がさばけるからであってその8倍の値段のモノは比較すればとんでもなく少数しか売れない。数がさばけない分割高なのは工業製品には当たり前な事だしリッパに見えてスペック的にも見劣りしない、それでも低コストで生産&流通出来るのが生き残るメーカーなので月日とともにドンドン商品として洗練されていく。製品として洗練されるんじゃなくって商材として洗練されていく。数がソコソコさばけて利幅が大きいのが洗練された商品で、小売店もどれが洗練された商材かを見抜くのがキモだからそっち方向にしか目がいかない。
出来たバイクはどんななのかと言えば確かに見た目もスペックもリッパで実際乗ると素人目には良さそうに感じる、でも数ヶ月であっちこっち不具合が出てきてそのまま朽ちていく使い捨て的バイクだ。
買った方もメンテ費用を考えている人なんて1割程度だろうから整備もしないままガタピシ言わせつつそのまま2年くらい乗ってママチャリに買い替えで一件落着となる。これが普通の、ちょっと気が向いたんで高い自転車買ってみましたー典型パターンだろう。
Googleマップで自転車店で検索するとサイメンもポチッと出てきちゃう時代になっていわゆる入門車な方も来店する様になった。結果前記のようなバイクの修理相談も受ける事が増えて困ったことがある。ネットで買ったガタガタバイクを完璧近くまで直してくれという依頼だ。たいていヘッド、BB、ハブ、ケーブル関係シフトチューニングなんだよね。
確かに出来る、技術的にもパーツのストックにおいても。でも予算の食い違いがねぇ、
だいたい一万五千円くらいでなんとかなりそうだなぁとコッチが考えているとお客さんの予算が三千円だったりする。三千円じゃ必須交換パーツ代にもまるっきりなんないので交渉不成立でお引き取りいただくことになる。
写真のショートVは調整不可な品でシマノのと交換した後の残骸。シューを見ても分かる通りそれほど使ってはいない。売ってじきにダメになるパーツだという事はメーカーだって知っているだろうに付けて売っちゃう。シマノのをチョイスしたって仕入れ原価は100円か200円くらいしか変わらんだろうにそれでも安い方を使う。その方が儲かるし競合他社がそうしてるんなら自分のところもやらにゃぁね。

この案件、バネの折れたVブレーキをシマノに変えてケーブルもいじってチューニングしてパーツ代込み約四千円。始めっからシマノが付いてりゃこんなに出費しなくて良かったろうにね。でもこの状況を望んでいるのは結局消費者だからね。
ほら、最近良く聞く有名ホテルのレストランでなんとかエビが偽物だったってやつ、あれはウソはウソでも食えるんだろうし味だって別にマズいわけや無かろうにね。でもウソだってんで批判されている。
自転車界のコレはウソとは言えないけど明らかにお客さんに迷惑をかけている。こっちの方が悪質だと思うんだけどこんな事をさせているのは結局消費者だと思うんだよね。
もしさ、良い製品なんか市場に出してみなよ、まともな製造原価を乗せたプライスで

誰も買わネェよ!

One thought on “8万円とか出してもこんな感じ、

  1. 小径者
    2013/12/05 at 9:13 AM

    販売店からよくシマノのブレーキに替えてくれと言われますが、「では、それで当社のブランドを置いていただけるんですね?」と言ったら、「それは別」なんですよね。
    あっちこっちスペック変更やグリスアップやトルク管理を工場に要求したいことがあるが、その反動でコストアップと抱えきれないロットを逆に要求されます。
    そして、悲しいことに消費者や販売店からは大した評価されないんですよね。
    世に流通してる完成車(金額関わらず)はすべて、勉強するためのものと割り切ったほうが精神的に楽ですね。

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