2001年9月19日 一万円の自転車の秘密 なぜ一万円で売れるのか?? 一般消費者の考えでは自転車というものは一万円程度であるというのが普通の認識ではないだろうか?4万円も 出せば高級品である。
さて、今時の安い(安物)自転車は中国あたりで作っている。中国であれば人件費は日本の25分の1程度であ る。自動化できない部分が多い自転車でも人件費が安ければかなり安く作れることは容易に想像できる。当然 工場出荷時の自転車は安い。1〜3千円といったところ(日本に入ったところで6千円前後らしい)だろう。それ に流通コストやら関税やらがかかって販売店に着く頃には売値の70〜95%前後になって入ってくる。
安売り店は自分のところが安いことを印象付けるためにほとんど荒利なしで値札を付けることも珍しくない。 たとえば、9000円で仕入れたものを、9400円で売っていたりする。これでも集客効果を考えると(他の商品もつ いでに買ってもらえば)十分採算が合うというわけである。
ところが、自転車専門店では自転車以外の商品は扱っていないので前記の集客効果でペイする作戦が使えない。 そのためにそれなりの荒利を乗せた値札となるので消費者は見向きもしなくなってしまったのである。実際、自 転車を生業としている私が見ても安売り店の安物自転車と自転車専門店の安物自転車を比べても値札の違い を納得させるだけの理由はない。町の自転車店が見向きもされなくなった理由(注意1)の一つがこれである。
最後に、私が先ほどから書いているように一万円程度で買える自転車は安い自転車ではなくて安物自転車なの である。品質は良くない。 どこが良くないのかと聞かれることがあるがどこも良くない。特にフレームがヤワなので後からどうこう改良 することもできない。これは荷物を積んだりすると著名に判る。前に夕餉のお買い物、後ろに子供を乗せて走っ たりすると、フレームがグニャグニャ曲がるのが素人目にも判るだろう。
一万円ぐらいで買った自転車は荷物はあまり載せず、ソ〜っと乗るものである。
まとめとして a,人件費の安い国で大量生産 b,量販売店は集客効果を期待して荒利を押さえている c,品質は到底良いとはいえない
(注意1)ここで断っておきたいが、一部の例外は存在する。町の自転車専門店でも善良で商売熱心な店は おつきあいするだけの価値がある。なぜなら、各種アドバイスや、買った後の面倒をきちんと見てくれるのは このような店だからだ。また安売り店で安く買って後のことは自転車専門店に任せるのが利口と考えている方 もいるが、私はそうは思わない。商売熱心な専門店は納品前のチェックもしっかりしていると考えて良い。こ この良し悪しは素人目には判らないが後々の維持費に関係してくるのである。多少値札に魅力が欠けていても 買いである。
残念ながら善良で商売熱心な自転車店はもはや熱帯雨林と一緒で絶滅の危機に瀕している。しかし私は上っ 面だけ整えて消費者に物を売りつければそれでOK!と考えている販売店を批判する気はない。なぜならそれは 消費者がそれを求めているからだ。確かに利益を上げることだけを考えれば店をこぎれいにして適当に愛想振 りまいて売れ筋の自転車を並べておくというのは正しい選択だと思う。
しかしその結果どうなったろう。ここ東京都新宿区周辺のことを言えば、無○良品や東○ハンズなどで自転 車を販売しているがどちらも一階には自転車売場は無い(1フロアしかない店舗はのぞいて)。なるほどこうし ておけば気軽に修理に立ち寄ることが出来なくなる。うまく考えたものだ。売った後は知らんぷり、なおかつ 店のイメージに悪影響を与えないようにするにはこれがベストだろう。
この問題はこれからも考えていきたいと思います。
一万円の自転車は買ってはいけないのか??
買っていけなく無くなくもない。
ここの境は微妙なのでまた次回。
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