2003年6月19日リスク回避でリスク回避は出来るのか???
現代社会ではリスク回避とは往々にしてリスクを他人に押しつけることであります。リスク回避に夢中な人はリスクを他人にいかに押しつけるかを常に考えているのであって根本的な問題を解決しようとはしないわけです。
さて問題はリスクを他人に押しつけることで事は済むのかということなんですな。確かに他人に押しつけることが出来ればその場その時は収まるだろう。この時、押しつけられた側にも気づかれないようにコソッとやるのがキモだ。しかし一回この押しつけの味をしめてしまうと次も同じようにすることになる。それがうまくいっていつも押しつけですむのが当たり前になると何らかの都合でリスクを他人に押しつけられなかった場合には非常に不満かつ不公平な気分になるだろう。
もっと問題なのはいつもリスクから逃げ回るのが癖になればリスクから逃げ回るのに手一杯になって一生なにもしないで終わることになる事だ。死ぬ間際になってハタと気がついても後のカーニバルだゼ!これってチョーリスキーではないか!リスクを回避していることが最大のリスクってことだ。
んー哲学的だナ。
こんな話はいかがだろう。ある人が夢のマイホームを買いました。ローンは35年。ローンの審査も無事完了して引越も滞りなく済みました。一見すべてが順調のようですがローンを組む時ってのは生命保険に入らされるんですよ。万一ローンを払い続ける予定の人がどこでどうなってももノープロブレムって事です。 ローンの事務手続きが完了した後はお父さん!!!あなたは生きてても死んじゃってもどっちでも良いんです。
家族の幸せとか安心とかいわれて保険に入って事務手続きがすんだらはいさようならってんじゃ話が違うよって言いたくもなるでしょうがリスク回避ってのはこういう無情な一面もあるのです。
現在進行形で結果は数年後に分かるのはこんなやつ。 女性のための株式講座って聞くでしょ。無料ですとかつとめの帰りにもちょっとよれる知的な集まりみたいな感じで募集してたけど。だいたいあれで儲かるンなら他人に教えたりしないで自分たちだけでやるって!なんであれをやるのかと言えば株屋側からすれば自分で株の売買をしてリスクを負うより他人に売り買いさせて仲介手数料だけ確実にいただこうということです。それも株で痛い目にあった中年以降はもうダメだからバブル崩壊を体感的に知らない20代のOLとかを丸め込もうって事でしょ?でも、これも最近聞きませんねーあんまり流行しなかったのか手口がバレバレだったのか損した大勢のOLに意味不明なクレームを付けられてへとへとになってしまったのか?それでもとにかくリスクを他人に押しつけるアイデアとしてはなかなかですよ。
あとは保険屋の商品とかね。よーく考えよ〜とか言ってるけどよく考えれば得するのは保険屋だってわかるでしょ。CMの代金だって保険金(て言うの?)払う側の負担だって。ごく一部の人をのぞいてあれは損することになっているんだから。だいたい外資系の頻繁にTVCMうっている保険屋だって打ち出の小槌持ってる訳じゃないんですけどずいぶんと美味しそうな素人ウケしそうなこと言ってますな。要用心です。
リスク回避のつもりが別のリスクを生んでしまうのならいっそリスクから逃げ回るのをやめて直球勝負に出るのも有りだと思うんですけどね。
黒沢明監督作品に「生きる」というのがあります。この中の登場人物のセリフにこういうのがあります。
「人間ってのはねぇ、自分自身にさえウソをついてしまう そういう悲しい生き物なんだよぉ」
人間はカナスィーな。
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